スモールビジネスの作り方 学ぶシリーズ

伊丹空港近く在住者必見!民泊代行サービスで月5万円稼ぐ副業ストーリー

※この物語は架空のストーリーです。実際の人物・団体とは一切関係ありません。

第1章 きっかけは、週末の散歩だった

2024年の春、私は伊丹市に住む普通の会社員だった。名前は田中健一、42歳。毎日片道1時間半かけて大阪市内の会社に通い、帰宅は夜9時過ぎ。週末は疲れ果てて寝るだけの生活を送っていた。

ある土曜日の朝、珍しく早起きした私は、久しぶりに近所を散歩することにした。伊丹空港の滑走路が見える場所まで歩いていくと、スーツケースを引いた外国人観光客とすれ違った。彼らはスマートフォンの地図を見ながら、何やら困った様子で歩いている。

「May I help you?」

中学英語レベルの私でも、これくらいは言える。彼らは民泊の場所を探していたらしい。たまたま知っている場所だったので案内すると、とても感謝された。

その帰り道、ふと気づいた。伊丹市内には意外と民泊物件が多い。空港から近いという立地の良さもあってか、出張で来るビジネスマンも多く利用しているようだ。

家に帰ってAirbnbのサイトを見てみると、伊丹市周辺だけで100件以上の民泊物件がヒットした。レビューを読んでいると、あることに気がついた。

「チェックインの説明が分かりにくかった」 「清掃が行き届いていない部分があった」 「ホストとの連絡が取りづらかった」

個人で運営している民泊オーナーは、本業を持ちながら片手間でやっている人が多いらしい。そこで思いついたのが、民泊代行サービスだった。

第2章 リサーチという名の現実

思いつきは良かったが、実際に何から始めればいいのか分からない。まずは徹底的にリサーチすることにした。

最初の1週間は、毎晩仕事から帰ってきてからAirbnbのサイトを眺める日々。伊丹市、豊中市、池田市あたりの民泊物件を片っ端からチェックした。写真の撮り方、説明文の書き方、料金設定、レビューの内容。すべてをエクセルにまとめていく。

2週間目になると、パターンが見えてきた。個人運営らしき物件には共通点があった。写真が素人っぽい、説明文が簡素、レビューへの返信が遅い、または返信していない。特に清掃に関する不満が多いのも特徴的だった。

ある日、思い切って実際に民泊を利用してみることにした。伊丹市内の個人運営らしき物件を2泊で予約。オーナーは50代くらいの男性で、メッセージのやり取りから本業が忙しそうな雰囲気が伝わってきた。

実際に泊まってみると、確かに清掃の甘さが目立った。浴室の隅にカビ、ベッド下にホコリ、冷蔵庫の中に前の宿泊者が残したと思われる飲み物。決して汚いわけではないが、プロの清掃とは程遠い。

チェックアウト時、オーナーの男性と偶然会うことができた。

「民泊の運営って大変ですか?」

さりげなく話を振ってみると、予想以上に苦労話が飛び出してきた。

「いやあ、正直きついですよ。本業が終わってから清掃に来るんですが、週3回くらいが限界で。英語もできないから外国人のゲストには翻訳アプリ頼みだし。でも副収入は魅力的だから、なんとか続けてるんです」

これだ‼と思った。彼のような人たちをサポートするサービスなら、確実にニーズがある。

第3章 最初の提案メール、そして沈黙

3週間のリサーチを経て、ついにサービス内容を固めた。

田中健一の民泊サポートサービス

  • 清掃代行:1回3,000円(約2時間)
  • 鍵の受け渡し代行:1回1,000円
  • ゲスト対応サポート:月額5,000円(メッセージ対応含む)
  • 写真撮影:1回5,000円

料金設定は悩んだ。安すぎると怪しまれるし、高すぎると相手にされない。同業他社のサイトを参考にしながら、個人事業として始めるならこれくらいが妥当だろうと決めた。

提案メールの文面も推敲に推敲を重ねた。

「突然のご連絡失礼いたします。伊丹市在住の田中と申します。貴物件のレビューを拝見し、運営のご苦労をお察しいたします。私は伊丹空港近くという立地を活かし、民泊運営のサポートサービスを始めました。清掃や鍵の受け渡しなど、オーナー様の負担を軽減するお手伝いができればと考えております...」

最初に送ったのは10件。個人運営らしき物件を選んで、一件一件カスタマイズしたメールを送った。レビューの内容を引用したり、物件の特徴を褒めたり、できるだけ機械的にならないよう心がけた。

そして待った。1日、2日、3日...

返信はゼロだった。

正直、心が折れそうになった。やっぱり素人の思いつきじゃダメなのか。会社員の片手間じゃ信用されないのか。

4日目の夜、ようやく1通の返信が来た。しかし内容は、

「ご提案ありがとうございます。現在は必要ありません」

礼儀正しい断り文句だった。

5日目にもう1通。

「すでに清掃業者と契約しています」

10件中、返信は2件。どちらも断り。成約率0%。これが現実だった。

第4章 転機となった雨の日

最初の提案から2週間が経過した。その間、さらに20件に提案メールを送ったが、返信は5件で全てお断りメール。心が完全に折れかけていた頃、1本の電話がかかってきた。

「田中さんですか?先日メールいただいた件で...」

電話の主は、最初の10件の中の1人だった。豊中市で民泊を運営している女性オーナー、山田さん(仮名)。

「実は急遽、明日の清掃をお願いできないかと思って。いつも頼んでる人が体調不良で...」

まさに渡りに船だった。翌日は土曜日で、たまたま予定も空いていた。

「はい、大丈夫です!」

即答した。

翌日は朝から雨だった。豊中市の物件に向かう途中、緊張で手が震えた。清掃道具は100均で揃えたものを持参。プロ用の道具なんて持っていない。

物件は2LDKのマンション。山田さんは40代くらいの女性で、見るからに疲れた様子だった。

「本当に助かります。実は私も本業があって、土日しか清掃に来れないんです。でも今日は子供の用事があって...」

鍵を受け取り、一人で物件に入る。前日までブラジル人の家族が泊まっていたらしく、部屋は思った以上に散らかっていた。

ベッドシーツの交換、バスルームの清掃、キッチンの片付け、ゴミ出し、掃除機かけ...やることは山積みだった。YouTube で見た清掃動画を思い出しながら、一つ一つ丁寧に作業を進めた。

2時間の予定が3時間かかった。特に苦戦したのはバスルームのカビ取り。100均のカビ取り剤では歯が立たず、結局スーパーまで走って強力なものを買ってきた。

作業を終えて山田さんに連絡すると、すぐに確認に来てくれた。

「わあ、きれい!前の業者さんよりずっと丁寧ですね」

その言葉に救われた。追加でかかった1時間分の料金は請求しなかった。それよりも、次につながることの方が大事だと思った。

「また来週もお願いできますか?」

山田さんのその一言で、私の民泊代行サービスは動き出した。

第5章 少しずつ広がる輪

山田さんの物件を週1回清掃するようになって1ヶ月。仕事は順調...とは言い難かった。

ある日の清掃では、トイレが詰まっていて大騒ぎになった。ラバーカップで30分格闘したが解決せず、結局山田さんに連絡して業者を呼ぶことに。私の清掃代は当然なし。むしろ迷惑をかけたお詫びとして、次回は無料で作業することを申し出た。

別の日には、チェックイン時間に遅れてきたゲストの対応を急遽頼まれた。アメリカ人のビジネスマンで、疲れ切った様子。英語は翻訳アプリ頼みだったが、「Thank you very much」と言われた時は嬉しかった。

そんな中、山田さんが別のオーナーを紹介してくれた。

「同じマンションで民泊やってる人がいるんです。田中さんのこと話したら、興味があるって」

紹介されたのは、60代の男性オーナー、佐藤さん(仮名)。定年退職後に民泊を始めたが、想像以上に大変で困っていたらしい。

「清掃だけじゃなくて、Airbnbのメッセージ対応もお願いできますか?英語が全然ダメで...」

こうして2件目の顧客を獲得。佐藤さんの物件は週2回の清掃に加え、ゲストとのメッセージ対応も請け負うことになった。

メッセージ対応は思った以上に大変だった。深夜にWi-Fiが繋がらないというクレーム、早朝のチェックイン希望、観光地への行き方の質問...24時間365日、いつメッセージが来るか分からない。

本業の会社でも、トイレに行くたびにスマートフォンをチェックする日々。ある時、会議中にスマホのバイブが鳴り、上司に睨まれたこともあった。

「田中、最近スマホばっかり見てるな。副業でもやってるのか?」

冗談めかして言われたが、内心ヒヤッとした。会社には副業のことは内緒にしていた。

第6章 初めての大失敗

サービスを始めて3ヶ月目。顧客は4件に増え、月の収入は3万円を超えるようになっていた。少しずつ軌道に乗ってきたと思っていた矢先、大失敗をやらかした。

土曜日の朝、いつものように山田さんの物件の清掃に向かった。ところが、鍵を開けて中に入ると、まだゲストがいた。

「What are you doing?!」

パニックになったフランス人カップルが叫ぶ。私も頭が真っ白になった。

慌てて山田さんに電話すると、私がチェックアウト日を勘違いしていたことが判明。本来は翌日の清掃だった。

山田さんは平謝りでゲストに対応してくれたが、レビューには「清掃員が勝手に入ってきた」と書かれてしまった。山田さんの物件の評価は4.8から4.6に下がった。

「田中さん、これは本当に困ります...」

山田さんの落胆した声が胸に刺さった。

その日から、スケジュール管理を徹底的に見直した。Googleカレンダーにすべての予定を入れ、前日には必ず確認メールを送るようにした。手帳も買って、アナログでもダブルチェックする体制を作った。

しかし、信頼を取り戻すのは簡単ではなかった。山田さんからの依頼は週1回から月2回に減らされた。収入も当然減った。

第7章 競合の出現と差別化

4ヶ月目に入った頃、Airbnbのホスト向けFacebookグループで、私と同じようなサービスを始めた人の投稿を見つけた。しかも伊丹市で。

その人は元ホテルマンで、清掃のプロフェッショナルをアピールしていた。料金も私より安い。正直、焦った。

実際、佐藤さんから「別の業者からも営業が来てるんだけど...」と相談された時は、このビジネスも終わりかと思った。

でも、佐藤さんは私を選んでくれた。

「田中さんは、ゲストのことをよく見てくれるから。この前も、体調悪そうな人がいたら薬局の場所を教えてくれたって聞きました」

そう、私の強みは「近所のおじさん」的な親しみやすさだった。プロの清掃業者にはない、人間味のあるサービス。それが差別化になることに気づいた。

それからは、あえて「プロ」ではないことを前面に出すようにした。

「伊丹生まれ伊丹育ちの私が、地元愛を込めてサポートします」 「本業の会社員経験を活かした、きめ細かな対応」 「ゲスト一人一人に合わせた、温かいおもてなし」

新規の提案メールも、この路線で書き直した。すると、少しずつ反応が良くなってきた。

第8章 5万円の壁

5ヶ月目、顧客は6件になった。

  • 山田さん:月2回清掃(6,000円)
  • 佐藤さん:週2回清掃+メッセージ対応(29,000円)
  • 池田市のオーナー:週1回清掃(12,000円)
  • 豊中市のオーナー:月3回清掃(9,000円)
  • 伊丹市のオーナーA:週1回清掃+鍵受け渡し(16,000円)
  • 伊丹市のオーナーB:メッセージ対応のみ(5,000円)

月収は7万円を超えた。目標の5万円は達成したが、問題が出てきた。

時間が足りない。

平日の夜と週末だけでは、これ以上の仕事を受けられない。特に土日は朝から晩まで清掃で埋まっている。体力的にも限界が近づいていた。

ある日曜日、4件の清掃を終えて帰宅したら、妻に言われた。

「最近、日曜日も全然家にいないじゃない。子供も寂しがってるよ」

確かに、家族との時間を犠牲にしていた。本業の疲れもあって、平日の夜は子供と話す余裕もない。これでは本末転倒だ。

悩んだ末、料金を上げることにした。新規の依頼は、清掃1回4,000円に。既存顧客には申し訳ないが、段階的に値上げをお願いした。

予想通り、1件は断られた。でも、5件は継続してくれた。むしろ「田中さんの仕事ぶりなら、その価値はある」と言ってくれるオーナーもいた。

仕事量を減らし、単価を上げる。これで月収5万円をキープしながら、時間的余裕も確保できるようになった。

第9章 新たな展開

6ヶ月目、思わぬ提案が舞い込んだ。

佐藤さんから「民泊物件を増やしたいんだが、物件選びから手伝ってもらえないか」という相談だった。

これまでの経験から、どんな物件が民泊に向いているか、どんな設備が必要か、価格設定はどうすべきか、ある程度のノウハウは蓄積されていた。

コンサルティング料として3万円をいただき、物件選びから民泊申請、Airbnbへの登録まで一貫してサポートした。

物件は伊丹空港から電車で10分の好立地。1LDKの築15年のマンション。家賃8万円で借りて、1泊6,000円で貸し出す計画だ。

内装は最小限の投資で最大限の効果を狙った。IKEAで買った北欧風の家具、100均の観葉植物、スリーコインズの小物類。総額10万円程度で、見違えるような空間に仕上がった。

写真撮影は、趣味でカメラをやっている知人に頼んだ。プロ並みの写真が撮れて、Airbnbの掲載ページも見栄えが良くなった。

オープンから1ヶ月で予約率は70%を超えた。佐藤さんは大喜びで、また次の物件も手伝ってほしいと言ってくれた。

このコンサルティング業務が、新たな収入源になりそうだった。

第10章 1年後の景色

民泊代行サービスを始めて1年。

現在の顧客は8件。清掃代行、メッセージ対応、コンサルティングを組み合わせて、月収は安定して6万円前後。目標の5万円は余裕でクリアしている。

でも、数字以上に得たものは大きかった。

まず、英語力が格段に上がった。最初は翻訳アプリ頼みだったが、同じようなやり取りを繰り返すうちに、定型文は覚えてしまった。今では簡単な会話なら翻訳アプリなしでできる。

体力もついた。週末の清掃は良い運動になっている。以前は階段を上るだけで息切れしていたが、今は4階まで駆け上がれる。体重も5キロ減った。

何より、人との繋がりが増えた。オーナーさんたちとは、もはやビジネスを超えた関係になっている。山田さんとは家族ぐるみの付き合いになり、佐藤さんとは月1回飲みに行く仲だ。

ゲストとの交流も楽しい。この前は、台湾から来た大学生に伊丹の美味しいラーメン屋を教えたら、後日わざわざお礼のメッセージと写真を送ってくれた。

失敗も多かった。

鍵を無くしかけたこと(車の座席の下から見つかった)、ゲストのクレーム対応で徹夜したこと、清掃中に花瓶を割ってしまったこと...

でも、そのたびに学び、成長できた。

最近は、同じような副業を始めたい人から相談を受けることも増えた。私の経験が誰かの役に立つなら、それも嬉しい。

エピローグ これから始める人へ

もしあなたが民泊代行サービスを始めようと思っているなら、いくつかアドバイスがある。

まず、完璧を求めないこと。私も最初は清掃のプロではなかった。YouTube動画を見て勉強し、実践で学んだ。大切なのは、誠実に対応すること。ミスをしたら素直に謝り、改善する。それだけでも信頼は築ける。

次に、差別化を考えること。プロの業者には価格や技術では勝てない。でも、地元民ならではの情報提供、親身なゲスト対応、オーナーとの密なコミュニケーション。これらは個人だからこそできる強みだ。

そして、無理をしないこと。最初から月5万円を目指す必要はない。まずは1件から。週末だけでもいい。本業や家族との時間を大切にしながら、少しずつ広げていけばいい。

投資も最小限でいい。清掃道具は100均で十分。高価な機材は、収益が安定してから買えばいい。私も未だに掃除機は家庭用だ。

伊丹空港近くという立地は、確かにアドバンテージだ。でも、それがなくても民泊代行はできる。観光地の近く、駅の近く、大学の近く。どこにでもチャンスはある。

最後に、楽しむこと。色んな国の人と出会い、オーナーさんと信頼関係を築き、街の新しい魅力を発見する。民泊代行は、ただの副業以上の価値がある。

私の物語が、少しでもあなたの参考になれば幸いだ。

完璧じゃなくていい。プロじゃなくていい。

大切なのは、一歩踏み出す勇気と、続ける根気。

あなたの物語は、今日から始まる。


本記事は架空のストーリーです。実在の人物・団体・出来事とは一切関係ありません。民泊代行業を始める際は、各自治体の条例や法令を確認し、必要な届出を行ってください。

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