マイクロSaaS 学ぶシリーズ

【つくる人をつくる#05】「できますよ」を、もう信じきれなくなった話

これまで、人を採るときのやり方はずっと同じだった。

履歴書と、本人の「できますよ」と、自分の直感。試験はしない。走りながら測る。Nさんも、スリランカのPさんも、そうやって受け入れてきた。

でも今回、そのやり方が通用しなくなった。

まず、声をかけ直した|眠っていた候補たち

開発のスピードを上げたかった。社内のチームだけでは、やりたいことの量に追いつかない。

最初に動いたのは、A国チームだ。以前、Pさんの紹介で候補が4名いた。けれど、ずっと使えずにいた。もう一度そのメンバーに声をかけ直すと、多少の入れ替わりはあったものの、いまも稼働している1人を含めて4人が手を挙げてくれた。

まず1人を、日本語サイトの開発で使い始めた。学生なので、ある程度は予想していたけれど、できるレベルが少し低かった。手間も時間もかかる、と判断した。日本語サイトの公判で、もう1人も追加して2人体制にもしてみた。

測ってみる、という新しいやり方

ここで、これまでと違うことをした。

残りのメンバーにも、テストをしてもらったのだ。小さな課題を出して、実際にコードを書いてもらう。直感や履歴書ではなく、現物で測る。

そして、それを実施したのは、わたしではなかった。Qさんだ。

前編・後編で書いたとおり、技術の領域はもう彼に任せている。わたしには、コードの良し悪しを測る力がない。でも、測れる人がチームにいる。「できますよ」を鵜呑みにするしかなかった頃から、ここは確実に変わった。

テストの結果、思っていたよりもレベルが低いことが分かった。A国チームでこのまま進めるのは、時間がかかる。そう判断して、B国チームを優先する方向に舵を切った。

知らない人は、難しかった|最初の募集は空振りに近かった

Qさんに相談して、外注メンバーの募集を始めた。

LinkedInで募集をかけたり、彼の友人に声をかけてもらったり。そうして2名と面接することになった。

結果は、1名が受けてくれて、もう1名は辞退。辞退の理由は、ほかにオファーがあって、それが自国内の仕事だったからだ。価格の面や、海外の仕事に対する安定感への不安——向こうからすれば、知らない国の知らない会社だ。不安があって当然だと思う。

このとき、感じた。やっぱり、知らない人は難しい。

結局、伝手がいちばん効いた

そこで、Qさんに、別の友人関係を当たってもらった。

すると、彼の大学時代の友人と、そのまた友人が応募してくれた。このWMSのプロジェクトから参加してくれることになった。

面白いもので、この3人——最初に受けてくれた友人を含めて——は、実力がある程度わかっていた。Qさんを介した、信頼の連鎖の先にいる人たちだ。それでも念のためテストをしてもらったが、結果は申し分のないレベルだった。

#02でPさんを「履歴書と直感」だけで採ったことを思えば、ずいぶん遠くまで来た。直感で当てにいくより、信頼できる人がつないでくれた相手のほうが、結局は確かだった。知らない人を見極めるより、知っている人をたどるほうが速い。当たり前のようでいて、痛い目を見て、ようやく腹に落ちたことだった。

測ることが、難しくなっている

ひとつ、最近よく考えさせられることがある。

いまは、AIを使えば、誰でもある程度のコードが書ける時代だ。それ自体はいい。問題は、書いたものをチェックせずに出してくると、動くようで動かないものが出てくること。中身を聞いても、説明が返ってこないことがある。

動くものは、出てくる。でも、それが「その人ができる」ということと同じなのかは、前より分かりにくくなった。

特定の誰かの話ではない。AIがこれだけ身近になった時代に、人の実力をどう測るか——これは、わたしのような立場の人間にとって、たぶんこれから長く続く宿題だ。「できますよ」を信じきれなくなったのは、本人のせいというより、時代のせいなのかもしれない。だから、テストをする。だから、伝手をたどる。そういうことだったのだと思う。

開発のスピードが、格段に上がった

ともあれ、B国の外注チームができた。

結果から言えば、開発のスピードは格段に上がった。社内のチームで「型」ができて、そこに外注チームの手が加わって、ようやく量をこなせる体制になった。前編で「揃っているのに動けない」と書いた頃が、ずいぶん前のことのように思える。

人を集めるだけではチームにならない、と前編で書いた。チームができても、それを支える手が足りなければ、量はこなせない。一段ずつ、必要なものが分かって、そのつど足してきた。その繰り返しだったように思う。

——そして、この体制で、いよいよ本丸に入っていく。ずっと優先順位の一番上にあって、でも手を出せずにいたWMSだ。

「本当のチーム」が動き出す、その話は、また次の機会に。

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