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【つくる人をつくる#01】システム部門がなかった会社で、僕が「システム課」をつくった話

新しい連載を始めます。タイトルは「つくる人をつくる」。

僕はエンジニアじゃない。設計もコーディングもできない。できるのは、課題を見つけて、人に動いてもらうお膳立てをすること。それだけ。でも、会社の中に「動ける仕組み」をつくることは、それでできる。

この連載は、その記録です。第1回は、すべての原点。うちの会社にシステム部門ができるまでの話を書きます。

はじまり|そもそもシステム部門なんて無かった

まず前提から。うちの会社は、当時システム部門というものが存在しませんでした。何かシステムが必要になれば外注する。社内に「つくる人」はいない。そういう会社でした。

そして僕自身は、当時その仕事をしていたわけでもありません。所属していたのは経営企画室。おもに人事まわりの仕事をしていました。

つまりこの話、登場人物の誰一人として、最初は「システム部門をつくる」担当ではなかったんです。

きっかけ|面接で出てきた「ゲームサーバー」という言葉

きっかけは、高卒採用のひとつの面接でした。

履歴書に、パソコン部での活動が書いてあった。お、と思って詳しく突っ込んで聞いてみたんです。プログラミングのスキルがあるのかな、くらいの軽い気持ちで。

そうしたら、出てきた言葉が予想を超えていました。彼は、単なるゲーム好きじゃなかった。趣味でゲームサーバーを立てて、運営していると言うんです。

正直、面接の場で内心ざわつきました。ゲームに没頭している子はたくさんいる。でも「サーバーを自分で運営する」って、普通やらないでしょう。遊ぶ側じゃなくて、遊ぶ場所をつくって回している側。その時点で、この子は普通と違う、と感じました。たしか「プログラミングできるの?」みたいな話も、その場でしたと思います。

念のため書いておくと、この時点で彼に「システム部門をつくるから来てほしい」なんて話は一切していません。むしろ彼の側からすれば、もしうちに来るなら現場の作業員として働くつもりだったはずです。

動き出す|「この子が来る」と決まってから、受け皿をつくりに行った

普通の順番は、たぶんこうです。部門をつくる → 人を採る。

僕がやったのは、逆でした。人を見つけてから、その人の受け皿をつくりに走り回った。

彼がうちに来ることが決まってから、僕は動き始めました。このチャンスを逃すまい、と。

  • まず上司に相談した
  • 社長のところに「システム部門をつくりたい」と直接お願いに行った
  • 現場には「受け皿ができるまでは一旦預けるけど、ラインに入れずに何か開発の仕事をさせてほしい」と頼み込んだ

新しい部門(システム課)をつくろうとしている。でも、何をどうすればいいのか、誰が許可を出すのか、誰に断ればいいのか——会社(社長)からの要望以外で新しい部署ができた前例なんてありません。だから上司、現場の部長、その上の上司と、了解を取れる人すべてに話を通して回りました。

難所|「高卒の男の子に、できるの?」という空気

正直に言うと、手放しで喜んでくれた人はいませんでした。みんな懐疑的だった。

それはそうなんです。傍から見れば、ただの高卒の男の子。「ちょっとパソコンに詳しいんでしょ? そんなのでできるの?」という空気が、ずっとありました。

この空気を変えてくれたのは、結局彼自身の実績でした。現場サイドで必要なものを、彼が実際にプログラミングしてつくってみせた。動くものを出した。それで、大きな反対は出なくなって、なんとなく、という感じでシステム課を立ち上げるところまでこぎつけました。

そして、ここで絶対に書いておきたい人がいます。

一番の協力者は、現場で僕のお願いを聞いてくれた方でした。「現場のラインには入れず、システム周りの仕事をさせてほしい。将来システム課をつくるから」——この、当時はまだ実体のないお願いに、積極的に賛同してくれた。この人がいたから、現場の本当の困りごとが、そのままシステムにつながっていきました。仕組みは、こういう人がいて初めて回り始めます。

なぜそこまで動けたのか|「人事課」という前例が効いた

担当外の僕が、なぜ新部門設立まで動けたのか。

理由のひとつは、自分の立ち位置の認識でした。僕は経営企画室の人間だ、という認識で動いていた。そしてこの経営企画室で、僕はすでにひとつ「無かった部署」を立ち上げていました。人事課です(これは上からの要望で立ち上げたものでした)。

人事課だってもともと無かった。それをゼロから立ち上げた。その前例と、その部署が持つ利点をフル活用して、今度はシステム部門に展開した。「人事もつくった。システムもいるでしょ」という流れです。

もちろん、根っこには「自分がシステム部門をつくりたかった」という思いが大きくありました。でも、思いだけでは部門はできない。思いを、組織の中で通る筋道に乗せる。そこが、たぶん僕の役割でした。

たまたま、を流さなかった|彼が来た本当の理由

最後に、後から聞いた話を。

彼がうちに来たのは、本当に偶然の積み重なりでした。

専門学校に行くか就職するか迷っていて、迷っているうちに、行こうと思っていた専門学校の締め切りが過ぎてしまった。それに、専門学校で学ぶべきことはもう無い、という判断もあったらしい。大学にも別に行きたくない。プログラミングは趣味でやっていく、くらいの感覚。

じゃあ、なぜ物流の会社なのか。理由は、お父さんが以前そういう関係の仕事をしていたから。

——ほんと、彼が来たのは、ものすごくたまたまなんです。

でも、僕はこう思っています。才能を見抜いた、なんて立派な話じゃない。たまたま転がってきた可能性を、たまたまで流さなかった。面接でざわついたあの感覚を、1年がかりの行動に変えた。やったのは、それだけです。

そしてそれこそが、この連載のタイトル「つくる人をつくる」の最初の一歩でした。つくる人(彼)が動ける場所を、つくる。僕にできるのは、いつもそれだけなので。

おわりに|ここから、チームになっていく

こうして、一人から始まったシステム課。

ここから、彼一人だったチームが、少しずつチームらしくなっていきます。海外のメンバーを迎えることにもなる。段取りや下準備を支える人も出てくる。そのあたりの話は、また別の回で。

頻繁には書けないと思いますが、ちょいちょい綴っていく連載です。原点の第1回は、このへんで。

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