マイクロSaaS

【つくる人をつくる#04(前編)】人が集まっても、チームにはならなかった

Qさんが加わって、エンジニアは3人になった。わたしを除いて、Nさん、Pさん、Qさん。

これでようやく、チームで動ける——そう思っていた。

でも、現実はそうならなかった。

揃ったのに、バラバラ|3人が個々で動いていた頃

3人いる。でも、チームじゃなかった。

Nさんは、業務システムを一人で作っていた。Pさんには、わたしが頼む細かいツールを作ってもらったり、動画編集という分野にもチャレンジさせたり——彼の才能をどこで活かせるか、まだ模索している段階だった。Qさんには、採用管理システムの次に日報システムを作ってもらった。こちらもフルスクラッチだ。

全員、手は動いている。サボっているわけじゃない。

でもそれは「個々の作業の集合」であって、「チームの仕事」ではなかった。誰かが作ったものに誰かが乗る、という噛み合いがない。三人が三方向を向いて、それぞれ走っている。そんな状態だった。

業務システムが、次々に止まった|相手側の都合

なんとかチームで動けるようにしたくて、いちばん太い線として考えていたのが、業務システムの案件だった。これをNさん主導で、他のメンバーに割り振ってやってもらえないか——そう打診していた。

ところが、その業務システム自体が、次々に止まる。

候補は3つあった。1つ目は、担当者待ちで動けない。2つ目は話を進めたものの、メーカー側の情報が錯綜していて、打ち合わせが必要になりとん挫。3つ目は、根回しがうまくできていなくて、上のほうから「なぜシステムを変えるんだ」と横やりが入ってストップ。

3つとも、別々の理由で止まった。これらは、相手側の都合だ。

任せても、進まなかった|こちら側の問題

でも、止まった理由はそれだけじゃない。こちら側にも、もっと根の深い問題があった。

Nさんに「他のメンバーを使ってシステムを作ってほしい」とお願いしていた。けれど彼は、一人でフルスクラッチでシステムを組むことはできても、チームで作業をした経験がなかった。どうしていいか分からない、という状況だったと思う。

はっきり「できません」と言われたわけじゃない。だから一緒に、システム開発の進め方を学びながら計画を立てよう——そんなところから始めようとした。でも、なかなか計画が出てこない。計画が出てこないと、どう進めるのかが見えない。見えないまま止まって、止まったらそのまま時間だけが過ぎてしまう。そういう状態に陥っていった。

これは、完全にこちら側の問題だ。

経験のないことを任せても、できない。そして自分自身も、もちろんチーム開発の経験などないから、うまくアドバイスができない。導く側にも、導かれる側にも、地図がなかった。

揃っているのに、動けない|いちばんしんどかったこと

正直に言うと、少しイライラしていた。

せっかく「できる体制」が整いつつあるのに、何もできない。人はいる。場所もある。なのに、形にならない。揃っているのに動けない、というのが、いちばんしんどかった。

そして外からは、圧力もかかってきていた。

「成果物が出てこない。君たちはいったい何をしているの?」

何もしていないわけじゃない。でも、胸を張って出せるものがまだない——というのも、また事実だった。「ある、でも見せられない」。この微妙な場所に、ずっといた。

ほしかったのは、他の部署が「なるほど」と認めてくれるもの。それを早く作りたかった。焦りの正体は、たぶんそれだった。

人が集まっても、自然とチームにはならない

このとき、思い知ったことがある。

人を集めることと、チームを作ることは、別だ。

一人ずつ採用して、机を並べて、人数は揃った。でも、それで自動的にチームになるわけじゃなかった。とくに、立ち上げたばかりの部署ならなおさらだ。まだ何の形もないのだから。決まったやり方も、回し方も、過去の成功例もない。形がないところに人だけ集めても、それぞれが自己流で動くしかない。

箱は作れた。人も入れた。でも、その先がこんなに難しいとは思っていなかった。

——この停滞を、どうやって抜けたのか。

きっかけは、優先順位のいちばん上にある案件ではなかった。むしろ、遠回りに見える一本だった。その話は、後編で。

-マイクロSaaS
-, , , ,