前回まで、キッチンKomichiというアプリをひとりで作って、ひとりで使っている話を書いてきました。N=1、つまりユーザーが自分しかいない状態で、それでも作る意味はあるのか、という話です。
で、今回は寄り道です。
Komichiの開発は、いったん一段落しました。もちろんまだまだ改善したいところはありますが、機能としては形になったので、今は細々と使いながら検証している段階です。
ならば次はデータを集めて改善だ——という流れになるはずでした。なりませんでした。
カレンダーアプリを作ってしまったからです。
「前から作りたかった」と「Komichiを充実させたい」が重なった
正直に言うと、勢いです。カレンダーは前から自分で作ってみたいと思っていたアプリでした。
ただ、勢いだけでもなかったな、と後から思います。
きっかけはKomichiの側にありました。Komichiには献立を考える機能があります。使っていると、こう思ったんです。献立を考える日があるのなら、それを記録しておく場所が欲しい、と。
何を作って、何を食べたか。それを日付に紐づけて残しておきたい。
じゃあその場所はどこかというと、カレンダーだよなと。
そこから少し広がりました。献立に限らず、何かを記録して、後から振り返るという行為は、たぶん全部大切です。そして記録と振り返りの真ん中に座っているのは、やっぱりカレンダーなんじゃないか。日付というものは、あらゆる記録がぶら下がる軸だからです。
そう考えたら、これは外せないな、と思いました。それで作り始めました。
作ってみたら、案外サクサクできた
カレンダーって、もっと難しいものだと思っていました。
日付の計算、月をまたぐ処理、繰り返しの予定。考え出すとキリがなさそうで、なんとなく手を出しにくい領域だと勝手に思い込んでいたんです。
実際に作り始めてみたら、案外サクサク進みました。びっくりしました。
なぜだろうと考えてみたのですが、たぶん、やりたいことが明確だったからです。
自分が何を欲しいのかを分かっていた。だから迷わなかった。作れるかどうかを決めていたのは、技術力ではなくて、欲しいものがはっきりしているかどうかの方だったのかもしれません。
逆に言えば、「なんとなく便利そうなカレンダー」を作ろうとしていたら、たぶん途中で止まっていたと思います。
天気予報をつなげた
欲しい機能はたくさんありましたが、ひとつ、他のカレンダーではあまり見ないものを入れました。
天気予報です。
天気って、案外大切です。予定を立てるときに、その日が晴れるのか雨なのかは、けっこう判断に効いてきます。カレンダーを開いたときにそれが見えているのは、自分にとっては自然なことでした。
そしてもうひとつ、過去の天気も見られるようにしました。
これは「あの時、天気ってどうだったっけ?」と、たまに思うことがあったからです。それだけの理由です。あと、日記と合わせて見たら、また違うものが見えるかもしれないな、という気もしています。
ただ、正直に書いておくと、この機能に大きな効果を期待しているわけではありません。あった方がいいと思ったから入れた、というだけです。
この判断、仕事だったら通らないと思います。効果が説明できない機能は、まず落とされる。
でも、自分のために自分で作っているので、通ります。ここはN=1のいいところかもしれません。
未来の天気は、予定を立てるための機能です。過去の天気は、振り返るための機能です。カレンダーを予定表としてしか見ていなかったら、後者は出てこなかったと思います。
でも、まだあまり使えていない
ここまで書いておいて何ですが、このカレンダー、まだあまり使えていません。
作り終わった直後というのは高揚感があります。動くものができた、という満足感で、しばらくいい気分になれる。でも、その気分と、日常的に使われるかどうかは、まったく別の話です。
Komichiのときも同じでした。作ったから使うわけではない。使う理由がないと、アプリは開かれません。
なので、決めました。このカレンダーを、プライベートな予定を入れる場所にします。
仕事の予定は別で管理しているので、そちらには持ち込まない。プライベートだけ。まずはそこから、頑張って使っていこうと思います。
使ってみないと、何が足りないのかは分かりません。これはKomichiで学んだことです。
寄り道に見えて、土台ができた
というわけで、今回は完全に寄り道の回でした。
ただ、書きながら気づいたことがあります。
このシリーズのタイトルは「つなげて育てる」です。これまでの回はKomichi単体の話で、「つなげて」の部分はまだ構想でしかありませんでした。
カレンダーを作ったことで、そこが少し実体を持ちました。
Komichiの献立も、この先に作るであろう何かも、日付という軸で束ねられます。記録の中心ができた、ということです。
寄り道のつもりで作り始めたものが、実は土台だった。そういうことは、たぶん作ってみないと分かりません。
とはいえ、まずは使うところからです。次回は、その報告になると思います。