ビジネス基礎編 マイクロSaaS 起業の始め方

【つなげて育てる#02】捨てたのは余った食材じゃない、「次の一手」を見失った食材だった

ひとつのアプリを核に、機能を足して・つなげて、ひとつのまとまったプロダクトに育てていく。その試行錯誤の記録です。前回は食材管理アプリのお披露目と、これを自分の資産として育てていくという宣言をしました。今回は、その次に何を足すか。答えは、わが家のキッチンに転がっていました。

廃棄した茹でダコ|「余った」のではなく「行き先を失った」

こないだ、茹でダコを一パック捨てました。

もともとは、妻がタコときゅうりの和え物を作るつもりで買ったものです。でもその日は時間がなくて、一旦保留になりました。よくあることです。問題は、その「一旦保留」のあとに起きます。

翌日、そのタコは次の料理に合いませんでした。妻の献立の流れから、ぽつんと外れてしまった。じゃあ僕のターンで使うかというと、正直、どうしていいか分からない。タコを使った簡単な料理が、すぐには思い浮かばないんです。そうやってスルーしているうちに、鮮度が落ちて、最後は捨てることになりました。

ここで、自分でも「あっ」と思ったことがあります。このタコ、そんなに是が非でも食べたい食材じゃなかったな、と。 もし大好物だったら、僕はきっとなんとかしたはずなんです。調べてでも、多少手間でも、作って食べていた。捨てられたのは、余ったからじゃない。「これをどうすればいいか」の答えが、誰の頭にも浮かばなかったからなんです。

わが家の廃棄が生まれる仕組み|「取りやめ」で計画が一日ずれる

うちの料理には、ゆるい役割分担があります。

メインの料理は妻が決めます。僕も作りますが、担当できるのは手の込まないものだけ。時間もないので、だいたい揚げ物(揚げるだけ)か、野菜と肉を炒めて味付けするか。その代わり、味噌汁や副菜みたいに「考える余地のあるところ」は僕が裁量を持っています。

この分担自体は、うまく回っています。崩れるのは、妻が予定していたメインが作れなくなったときです。時間がなかったり、必要な食材が足りなかったり。すると、その日はメインが取りやめになる。そして、そのために用意していた食材が、行き場を失って浮くんです。

浮いた食材は、翌日にずれ込みます。すると、その翌日の献立ともかみ合わなくなる。妻の食材消費計画が、まるごと一日ずれる。 そういう日の冷蔵庫は、だいたいパンパンです。使うはずだったものが消化されずに残っているんだから、当然です。そして、パンパンの冷蔵庫の奥で、あのタコのような食材が、静かに廃棄の危機を迎えていく。

わが家の廃棄は、食材を買いすぎたから起きるんじゃありません。計画が崩れて、食材が行き先を見失ったときに起きる。 これが、しばらく観察して分かってきたことです。

献立を考える時間の「物色」|常温と粉もんという死角

計画が崩れた日、僕がやることは決まっています。冷蔵庫と戸棚の「物色」です。

何が残っているか、何から使うべきか。冷蔵庫を開けてじっくり眺めて、常温保管の棚も確認して、賞味期限をひとつひとつ見ていく。取りやめの日にうどんやパスタに逃げるのも、この物色の結果です。煮込める野菜があればうどん、なければ買い置きのレトルトソースでパスタ。要するに僕は、その場で「浮いた食材を見て、消費できる逃げ道を探す」という判断を、毎回、頭の中でやっているわけです。

そしてこの物色で、いちばんの曲者が常温保管の食品でした。

冷蔵庫の生鮮は、まだいい。目につくし、傷めばすぐ分かる。厄介なのは、すぐには期限が来ない常温のものです。油断していると、棚の奥底でいつのまにか期限切れになっている。とくに粉もん——お好み焼き粉、たこ焼き粉、パンケーキの粉。この辺りは完全に死角です。

しかも、確認しようとすると棚をひっくり返すことになる。ひっくり返すと、ぐちゃぐちゃになる。ぐちゃぐちゃになると、次はもっと見えにくくなる。だから確認が億劫になって、また奥で期限が切れる。この悪循環を、僕は手作業で繰り返していました。

アプリで期限は管理できるのに|献立の段になると人力に戻る分断

ここまで書いていて、引っかかることがあります。

前回お披露目した食材管理アプリは、まさにこの「何が・いつまでに・どこにあるか」を管理するために作ったものでした。レシートを取り込めば、賞味期限もある程度入る。何をいつまでに使うべきか、リストになる。棚を物理的にひっくり返さなくても、手元で分かるようにしたはずなんです。

なのに、いざ「今日何を作るか」を考える段になると、僕は結局、冷蔵庫を開けて人力で物色している。アプリで在庫と期限は管理できるようになったのに、その先の「じゃあ、これで何を作る?」には、アプリがまだ連れて行ってくれない。ここで人力に引き戻される。

この分断が、今回の観察でいちばん腑に落ちたところでした。核はできた。でも片手落ちなんです。在庫を「把握する」ところまでは来たけれど、把握した在庫を「次のアクションにつなげる」ところが、まだ空いている。データは貯まっているのに、そのデータが働いていない。

次に足すもの|「食べたくなる×簡単」な副菜を、在庫から

だから、次に核につなげたい機能が見えてきました。

浮いている食材・期限が近い食材から、作れる副菜を提案してくれる機能。 メインは妻が決める。僕が裁量を持てるのは副菜です。そして副菜こそ、冷蔵庫の半端な野菜や使いかけで組むもの——つまり、在庫から発想するのが一番自然な領域なんです。「今日のメインはこれ」が決まっていれば、あとは在庫から副菜の候補が出てくる。それが、わが家の暮らしにいちばんフィットする形だと思います。

ただし、ただ在庫を消化するためのレシピじゃダメなんです。あのタコの教訓がそこにあります。義務で「これを使い切りなさい」と出されても、人は動かない。動くのは、「お、それなら食べたい」と思えたときだけ。だから欲しいのは、在庫から出てくる×食べたくなる×簡単、の三拍子がそろった提案です。

……そんな都合のいいもの、作れるんでしょうか。正直、今の僕にはまだ分かりません。「食べたくなる」と「簡単」は、けっこう相性が悪い組み合わせな気もします。でも、ここが次の課題だということだけは、はっきりしました。この浮いた食材たちを、どうやって核のデータにつなぎ込むのか。その設計の話は、また次回に。


このブログ「smallbiz-lab.com」では、独立を目指すひとりの人間が、自分の資産になるプロダクトをゼロから育てていく試行錯誤を記録しています。同じことを考えている方と、あれこれ共有できたら嬉しいです。

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