システム課に、はじめて「場所」ができた。
きっかけは小さかった。以前そこを使っていた人が別の場所に移り、たまたま空いたスペース。倉庫とも部屋とも言いにくい、ほったて小屋みたいなところだ。そこに机をいくつか運び込んで、3人が並んで座れるようにした。それだけのことだった。
でも、それだけのことで、気持ちが変わり、部署ができたと実感が持てた。
3人目は、現場にいた
スリランカのPさんは、もともと組立作業の担当だった。システムとは無縁の現場にいた人だ。
きっかけは、履歴書だった。ソフトウェアエンジニアリングに関することが書いてあった。「あ、この人、そういう素地がある」と入社時に感じていた。Nさんのときと同じ、直感に近い判断だった。
それで声をかけてみた。「できますよ」という返事だった。試験もなにもせず、システム課に入れようと動いた。
我ながら大雑把だと思う。でも当時、正直なところ、力量を測る手段も基準もなかった。あったのは「履歴書に書いてあること」と「本人がそう言っていること」と、自分の直感だけだ。
「場所」ができると、チームになる
Nさん、スリランカのPさん、そして自分。3人が小部屋に集まるようになった。
それまでのシステム課は、名前はあっても実体が薄かった。Nさんが動いていて、自分がそれを動かしていて、でもどこか「個人が動いている」感覚が抜けなかった。
場所ができると、変わる。机がある。そこに来れば会える。議題がなくても、空間を共有しているだけで、なんとなく「チームでやっている」という感覚が生まれる。小部屋でも、十分だった。
うっすらと、考えていたこと
スリランカのPさんを入れた理由は、もう一つある。
オフショア開発ができる環境を作りたかった。
大きな声で言えるほど、当時は具体的なビジョンがあったわけじゃない。でも「社内に海外人材がいて、その人が開発側の言語を理解できれば、外の開発チームとの橋渡しができるんじゃないか」という感覚はあった。
布石、と呼ぶほど計算されてもいなかった。でも、ただの偶然でもなかった。
小部屋から始まったシステム課
整った環境じゃなかった。立派なオフィスでもなかった。
でも、3人が集まれる場所ができた。それがシステム課の、最初の「かたち」だったと思う。